"Jazz"には本来、”ごちゃまぜ”、"ごった煮"、"なんでもあり"のニュアンスがあります。

ジャズをテーマにした演奏会にあたり、ジャズの名曲と、マンドリンオーケストラで演奏されてきたジャズの要素を含む曲を取り合わせた、何でもあり、”All that Jazz”なプログラムを構成しました。

 

一曲目、"Pass me the Jazz"は、スウェーデンの世界的⽼舗ヴォーカルグループ"The Real Group"が歌うナンバー。"Jazz"と食事をかけ合わせた歌詞といかにもジャズらしいリズム・ハーモニーが印象的なこの曲は、演奏会を象徴する一曲になるでしょう。

 

ディジー・ガレスピーは、モダン・ジャズの原型となるスタイル「ビバップ」を築いた功労者として知られ、"Bebop"は、そのスタイル名の語源となった象徴的な作品です。

 

マンドリンの故郷である現代イタリアの作曲家・マンドニコは、ジャズの影響を受けたマンドリン曲を多く作曲しています。”Ceciliana”は、「ビバップ」の時代の代表的ドラマーであるマックス・ローチの作品「チェチリアーナ」の主題をもとにした、ジャズの要素を含む変奏曲です。

 

「シンフォニック・ジャズ」というジャンルを生んだ、ガーシュインの"ラプソディ・イン・ブルー"は、オーケストラとジャズの関係性を語る上で外せない名曲でしょう。マンドリンオーケストラ編曲の第一人者・遠藤秀安先生による、おいしいところがギュッと詰まったアレンジもお楽しみください。

 

"ARSNOVA組曲"は、マンドリンオーケストラの超人気曲。前半で演奏するマンドニコらの影響を受けた第1楽章、ジャズとクラシックを融合したピアニスト・カプースチンの影響を受けた第2楽章、どちらもマンドリンオーケストラの魅力を存分に引き出した作品です。

 

この演奏会にあたり、NYで活動するジャズキーボーディスト、KEN AIHARAに新曲を委嘱しました。普段はFusion Jazzのジャンルで活躍する彼が、初めてマンドリンオーケストラの作曲に挑みます。どんな曲になるのか、私も楽しみです。

 

コンサートマスターには、プロのマンドリニストとして活躍する鈴木遥太郎さんをお招きします。 

オーケストラのメンバーは、2019年に開催された「柴崎利文作品集」で出会った友人を中心に、この演奏会のために、コロナ禍で先が見えないなか集まってくれた仲間たちです。そんな彼らとの自由で楽しい時間を、お客様と共有できることを願っています。

 

相原 龍 

指揮:相原 龍

兵庫県西宮市生まれ。

長野県諏訪清陵高校古典ギター部にてクラシックギターをはじめる。

3年次に部長を務め、第36回全国高校ギターマンドリンフェスティバルにて朝日新聞社賞を受賞。

神戸大学マンドリンクラブにて指揮者を務め、委嘱作品「DRAGON WINK」(遠藤秀安)を初演指揮する。

指揮法を斉田好男氏に師事。明石フィルハーモニー管弦楽団指揮セミナー受講生。

これまでに、マンドリンオーケストラ「ブレーメン音楽団」、マンドリンオーケストラHorizon、柴崎利文作品集などを指揮。

 

ゲストコンサートマスター:鈴木 遥太郎

1991年兵庫県明石市生まれ。

現在はポップスを舞台に、マンドリン演奏家、コンポーザー、コーチ、ライターとして活動。

2013年よりポップデュオ√Savaket(るーと・さばけっと)の工房職人、‘合奏団リリカ’の団長を務める。

2018年には間宮匠、平野之識らとマンドリントリオ「BallonKatze」を結成。 いずれも精力的に活動を続けている。

マンドリンを柴田高明、作曲・ソルフェージュを壺井一歩、ジャズ音楽理論を福本純也に師事。

WEBサイト:https://ballonkatze.jimdofree.com/

 

作曲:KEN AIHARA

兵庫県出身。

大阪芸術大学キーボード専攻でキーボード演奏を学び、在学中様々なバンドオーデションで一位を獲得。怒髪天。、オレスカバンド、Tomovsky、後藤まりこなど著名なミュージシャン達と共演する。卒業公演で、演奏に高い評価受け研究室賞を授与される。

大阪芸術大学卒業後、ボストンのバークリー音楽大学に留学し、Piano performance、Electronic production and design科を専攻。Jazz, Fusion Metal, EDMなど幅広いジャンルの演奏をこなす傍、作曲、サウンドデザイン、オーディオプログラミングなど様々な分野を学ぶ。鍵盤をSteve Hunt (Allan Holdsworth)、 Marc Rossi (George Russell)、Dave Limina (B.B king)に師事。

バークリー音楽大学を卒業後NYに拠点を移し、2019年自身のFirst Album ‘Multiverse “をリリース 。レコーディングメンバーにグラミー賞を受賞したSnarky PappyのギタリストBob Lanzettiをはじめ、Evan Marien (Allan Holdsworth, Virgil Donati)、Marko Djordjevic (Matt Garrison, Wayne Krantz)、Aaron Nevezie (Nerve-Jojo Mayer, Emmy Awardノミネート)らが参加。世界的なミュージシャン達から演奏、作曲において高い評価を得る。

WEBサイト:https://ken-aihara.com/

 

編曲:遠藤 秀安

名古屋市生まれ。

愛知県立大学文学部国文学科卒業後、保育士、学童保育指導員を経て、愛知県立芸術大学音楽学部作曲専攻卒業。

1999年「マンドリンオーケストラの為の『懶(らん)』」にて第6回マンドリン合奏曲作曲コンクール第1位受賞。

ARTE MANDOLINISTICA、ARTE TOKYO、マンドリンアンサンブルいずみ、幸田シンフォニックバンド、愛知室内オーケストラ、日進児童合唱団などのアレンジを手がける。

2005年に幸田町町村合併50周年記念事業の一環として行われたミュージカル「星の降るまち」を作曲。2007年再演。

2013年、幸田ミュージカル「さよなら、ブルーバード」を作曲。2017年再演。

マンドリンオーケストラ曲に「AQUA EXPRESS」「GOLDEN ACANTHUS」「風のいざない」「セイリング・デイー出航ー(第1回全日本マンドリン合奏コンクール課題曲)」「マーチ『ジョイ・フライト』(第5回全日本マンドリン合奏コンクール課題曲)」などがある。

越野宏之、寺井尚行、各氏に師事。

2008年より愛知県立芸術大学非常勤講師。

WEBサイト:http://hrm.opal.ne.jp/